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ローディーになりたい人

今なお、各社就職というかたちを前提にした取り組みを行なっていますが、昨今の業界動向において、何かそれだけでは、ローディーになりたい潜在的人材のニーズに、応えられなくなっています。その中で、最も後発のJAMは、ローディーになりたい人、まだ漠然と興味があるくらいの人たちを含めた新たな選択肢として、提携する他社やフリーランスの力を借りながら、トレイニーというかたちでの取り組みを、実践しています。

好きなことを仕事に結びつけるのに必要なのは、本人の情熱と、時には鬼気迫るほどの努力であることに、今も昔も変りありません。

では君たちは今、どういう状態で何が求められているのか、そのためには具体的に何を準備するべきか、 確立した取り組みとは言えませんが、これからなるべくわかりやすく話していきたいと思います。

ローディーはプロユーザーにとっての楽器屋さん

アマチュア・ユーザーにとって楽器屋さんは、とても頼りになる存在。勿論プロ・ユーザーにとっても同じ。でもプロの現場で活躍しているミュージシャンは、忙しくなってくるとそうも言っていられない。プロの現場ならではの悩みやストレスもあるし、究極的には演奏にだけ集中できる環境とお手伝いがほしくなる。そこで、プロのミュージシャンを支える、『知識』や『技術』と『ホスピタリティー』を備えたサービスが必要になってくる。だから楽器と現場に特化した『知識』と訓練が必要。その積み重ねが『経験』。いずれも直ぐにはどうにもならない。ギターテックやドラムテックなんかは、云わば、その楽器に特化した、スペシャルティー・サービス。総じてローディーは、現場において楽器とミュージシャンの関わりに特化した、プロ・ユーザーにとっての楽器屋さん。

ローディーになりたい人、まずその前に

音楽業界、とりわけコンサート業界で働きたい若者たちに対し、未だに仕事の実状が上手く説明されていない存在。また会社をつくる際でも定款にない職業…我々ローディーとは、コンサートは数あれど、国内での認知度はその程度。だけど欧米への渡航でイミグレーションを通過する際、「Guitar Tech.」「Drum Tech.」は、すんなり通じる職種。そんなわけだから、残念ながら音楽業界関連の専門学校で学べない(学科がない唯一といってもいい)仕事であり、そのあたりが、専門書はおろか、マニュアルみたいなものも、なかなか存在しない理由でもある。ましてやそうなると、親に仕事の内容を説明するのは一苦労だし、ほとんど理解不能かもしれない。だから親離れ・子離れしていない家の子は大変だから、悪いこと言わないからやめておいたほうが良い。

トレイニー、要するに見習い

30数年前、自分はアルバイトをしながら、少しづつローディーの経験を積み、数年かかって食えるようになった。会社に入ってローディーを名乗りはじめたわけではないから、最初は超がつく大失敗の連続。ミュージシャンや、それこそ周囲にいる全てのセクションの先輩達が、全員で引っ張り上げてくれた。けど半人前のくせに会社にも入らず常に1人だから、次に声が掛からなかったらおしまい。だから会社に入ってやっている連中にはコンプレックスもあった。今思うと、毎日がものすごく張り詰めた状態だったと思うし、恥もいっぱいかいたけど、とにかく夢中で走り続けた。そんな自分にできるとしたら、やっぱりこの形しかないかなと思い行き着いたのが、今も試行錯誤しながらやっている、『トレイニー』というかたち…っていうか、要するに見習い。

向き不向きを言う前に

とはいえプロの裏方の見習いだから、向き不向きを言う前に、まずは多少の準備は必要。以下は例えばの話。プロのミュージシャンって、やっぱり選ばれた人たち。で、それを目指してバンドをやっていた人。別にプロのミュージシャンは目指してないけど、楽しくて楽しくて一生懸命楽器の練習をしている人。だから楽器が好きで好きで詳しくなっちゃった人。だから洋楽をたくさんたくさん聞いている人。だったらその『好きと経験』を、プロの裏方に必要な『知識と技術』に換えて、ミュージシャンの為に、 ミュージシャンを支えるサービスを展開してみるのはどうかな。

ハートとフィジカル

『好きと経験』を『知識と技術』に換えるためにも、忘れちゃいけないのはハートとフィジカルの関係。はじめてのシチュエーションでも、パワーとスピードとスタミナがあれば、ハートはそう簡単には折れない。ハートが折れなければ、笑顔でいられる。タフな情況で笑顔でいることは容易いことではないけれど、経験は無くとも、ハートとフィジカルがそれを可能にしていく。ハートとフィジカルは必要不可欠。

やる気と本気のちがい

もし、未だ君が何もやってないとしたら、やる気があれば、そこから準備をはじめてみれば良いと思う。ちょっと気合入れて楽器の練習をする。知らないことを調べて楽器の手入れをして調整してみる。洋楽を聴いてどんどん時代をさかのぼってみる。ついでにその当時の楽器について調べてみる。体力に自信がなければ、フィジカルを鍛える。引越しのアルバイトで自分の体を追い込むのも良い。向き不向きっていうのは、本気で10年20年と…極めていくほどに、さほど重要ではなくなる。勿論すぐに見極めても構わない。でもそれは向き不向きじゃなくて、『やる気』なだけで『本気』じゃなかっただけ。『やる気』の有無は自分でわかる。でも『本気』かどうかって、案外自分じゃわかっていない。

ローディーは声が掛からないと始まらない

ごらんの通りの仕事だから、就職すればローディーになれるわけではないし、名乗ったところでどうなるもんでもない。残念ながら手取り足取りっていうのとも少しだけ違う。また現場なら何処でも連れて行ってあげられるわけでもない。うちみたいな小さな会社だと、残念ながらそういった点は何処よりも恵まれていない(面目ない)。トレイニー当初は空きスケジュールがあって当たり前。声が掛からないのをいっしょに振り返ってみると、意識の低さや仕事を舐めてる場合がほとんど。勉強は自分目線でも良いけど、仕事はあくまで相手目線じゃないと声なんて掛からない。声が掛かり続けるまでは、むしろアルバイトをしながら『相手の目線』で考えることに目覚めるほうが、不要に煮詰まることもなく、焦るよりかえって近道。あとは自分のペースで、しっかりやればいい。ましてやプロの世界。ひとたび現場に出れば、「明日から来なくていいよ」は、トレイニーでもベテランでも、現役の間はみんないっしょ。やっぱり声が掛からないと始まらない。

クソ真面目にはなるな

器用な人、不器用な人、要領の良い人、要領の悪い人、性格や血液型、いろんな人がいるから一律では計らない。しかも子供じゃないから、苦手なことはなかなか克服できない。それよりも得意なことを完璧に磨きあげて、苦手なことには最大限の対処方法を備えるしかない。だから仲間はライバルというよりも、大事なパートナーになる。様々なルールの中で、真面目に個性を発揮すれば良い。セオリーを踏襲した先にある柔軟性が大事。クソ真面目にはなるな。

そろそろ一緒にやってみようか

これまで話したことは、とくにローディーに限ったことではない。云わば仕事をする上での心得といったところか。また普段から会社の枠を越えてチームを組んで仕事をしている割に、仮に十数年、会社に十分な貢献をした後でも、自分にあった組織を求め会社を横断することを、許容し後押しできるほど、ローディーの組織文化は成熟していない。だから、トレイニーとして仕事を覚え、個人として(取引先に対し) 相応の責任が果たせるようであれば、フリーランスになるのも良し、行きたい会社が見つかったときは支援する。同業他社は全部先輩達がやっているからね(Respect!)。いっしょにJAMを盛り上げてくれるなら、何より嬉しい。

何回も読んでいるうちに、なんとなく自分にフィットしてきた君、だんだん燃えてきた君。準備はどうかな。

勿論、準備は万端じゃなくても大丈夫。要は君が『やる気モード』から『本気モード』に動き始めているかどうかだ。そろそろ一緒にやってみようか?